AI開発・AI実装・AI活用で選ぶ新卒の就職先|仕事内容・配属・働く環境を比較
AIに関わる就職先は、AI開発・AI実装・AI活用の3つを分けて選ぶのがおすすめです。
何を作り、何を組み込み、仕事でどう使うのかによって、必要な力も評価される成果も変わります。
募集職務と配属、社員の利用環境を比べ、自分の経験に合う入口を見つけましょう。
本記事では、AIに関わる12の企業・採用単位を取り上げ、仕事内容・応募条件・働く環境と、志望に合う準備を解説します。
AI開発・AI実装・AI活用の違いを押さえる
AIのプロを目指すなら、作る・組み込む・使うの違いを、自分の言葉で説明できるようにしましょう。
言葉の定義が曖昧なまま仕事を進めると、要求、成果物、担当する責任、完成と認める基準が食い違います。
「AI開発」は、AIを活用したソフトウェア開発を指して使われることもあります。
顧客に伝わる言葉へ言い換えることと、作り手自身が仕事の範囲を区別できないことは別です。
本記事では、モデルやアルゴリズム自体の作成・改良を「AI開発」、製品や業務システムへの組み込みを「AI実装」、仕事でAIを使い成果や効率を高めることを「AI活用」と呼びます。

例えば、モデルの学習方法を変えるのはAI開発、そのモデルで社内文書に答える仕組みを作るのはAI実装、完成した仕組みで調査を進めるのはAI活用です。
AI開発は基盤モデルを一から研究する仕事だけではなく、既存のモデルや手法の改良も含みます。
一方、APIを呼び出したことだけを、モデル自体の開発経験として伝えるべきではありません。
3軸は会社を分ける分類ではなく、仕事内容と働く環境を見る軸です。
同じ職務で開発と実装を担当し、その仕事でもAIを活用する場合があります。
希望する成果と自分の担当範囲を先に合わせることが、企業選びの出発点です。
応募先選びや経験の整理を相談したい方へ
AI開発・AI実装の新卒募集を、職務の中身で比較する
AI開発か実装かを選ぶときは、職種名ではなく、何を作り、何を変える仕事かを読みましょう。
会社のAI事業が大きくても、その仕事を新卒が担当できるとは限りません。
モデル自体の学習・改良か、製品への組み込みかを職務説明で区別します。
まずは新卒の募集職務から比べられる8つの採用単位です。
生成AIの実務例を中心に、モデルやアルゴリズムの開発を明記する入口も載せています。
AI全分野を網羅した一覧ではなく、楽天のML職も生成AI限定の募集ではありません。
| 企業・採用単位 | 年度・入口 | 確認できる実務 | 条件・配属の注意 |
|---|---|---|---|
| サイボウズ | 28卒・プロダクトエンジニア | 生成AIを含む製品開発・改善 | プラットフォームも対象。入社後に配属を対話 |
| SmartHR | 28年4月・MLエンジニア | LLMの調査検証、製品への実装・運用 | 研究室でのML等研究、Web開発などが必須 |
| ABEJA | 28卒・ソリューション領域フルスタック/データサイエンティスト | 実装:AI統合・推論環境。DS職はモデル開発・評価・運用、LLM自体の開発機会も明示 | フルスタック:理工系・開発6か月以上等。DS:理系卒見込・プログラミング制作・Coding Agent利用能力等。個別担当の確約は未確認 |
| LayerX | 新卒AI・LLM職。卒年未確認 | バクラクのAI機能、評価・監視の基盤 | 選考インターンのテーマを含む。年度・全条件を要確認 |
| アクセンチュア | 28卒・AI&Dataアーキテクト | 生成AI等を使う構成設計・実装・運用 | 個別条件はMyPage。生成AI専任保証は未確認 |
| 日本IBM | 28卒・AIイノベーター | 試作、システム実装、モデル選定・評価 | AIの自主検証と成果物の開発経験など。初期案件は未確定 |
| 楽天グループ | 28卒・AI & Data×AI Engineer/EPSD×Machine Learning Engineer | AI Engineerは生成AI機能の実装・運用。EPSDのML職はAI/MLモデル・アルゴリズムの設計開発から導入。生成AI限定ではない | AI Engineerは技術基礎・英語等。EPSDのML職は関連学位・ML/数学等と日英ビジネス能力。職種と組織を選ぶ。第1期10/2〜10/30、早期終了あり |
| TOPPAN新卒採用 | 28卒・ジョブコース05 | AIモデル自体の開発、検証評価・最適化と、AIを使う業務システム開発 | 05の知識スキル欄:関連専攻・Python等・AI利用/開発経験。必須/歓迎の区分は未記載。選んだ業務で採用、個別モデルや案件の保証なし |
ABEJAと楽天には別の職種を併記しました。
同じ会社でも応募条件は共通ではありません。
ABEJAのフルスタック職の開発期間や、楽天のAI Engineerの語学条件を、別職種へ持ち越さないようにしてください。
募集ページがあっても受付中とは限りません。
卒年・締切に加え、学校区分や研究・制作経験を照合します。
LayerXは募集年度が未確認で、選考インターンのテーマを含む点にも注意が必要です。
次は、新卒入社社員の実装経験から仕事を知る4つの採用単位です。
本人の経験は、同じ仕事を新卒全員に保証するものではありません。
| 企業・採用単位 | 年度・入口 | 確認できる実務 | 条件・配属の注意 |
|---|---|---|---|
| ギブリー | 27・28卒の入口あり | 24年新卒社員が生成AIの検証から製品実装・改善 | 現在の募集詳細・担当確約は別途確認 |
| LINEヤフー | 28卒Software Engineering Specialist | 23年新卒社員が1年目に口コミ要約・生成文の評価を設計 | 配属は適性による。AI Agent特別募集は終了 |
| NEC | 27卒の部門704。28部門は未確認 | 21年新卒社員が4年目にRAGの構成・性能・精度を改善 | 現在受付・固有条件・初期案件は未確認 |
| NTTデータ共同採用 | 27要項。28の当該入口は未確認 | 24年新卒社員がRAG・AIエージェントの研究開発 | 共同採用を1単位とする。特定担当の確約なし |
過去の社員例と、現在の募集・初期配属は分けて判断することが大切です。
NECとNTTデータには27年向け要項を含みます。
開発を志望する人も、研究経験が必須という条件だけでモデル開発専任と判断せず、担当する作業と配属範囲まで確かめましょう。
経験と配属の条件から、AIに関わる職務を絞る
ここでは、AIの製品実装を含む4つの入口を比べます。
研究経験の必須条件と、モデル自体を開発する担当の確約は別です。ABEJAと楽天は、前の表に加えた別職種ではなく、以下の職務の条件を読みましょう。
- サイボウズ|28卒の募集範囲を、27卒の確約と分ける
- SmartHR|研究経験を、製品へ実装する仕事につなぐ
- ABEJA|開発経験から、AIをシステムに組み込む
- 楽天グループ|職種と組織を決めて、AI実装を目指す
サイボウズ|28卒の募集範囲を、27卒の確約と分ける
サイボウズは、生成AIに関心を持ちながら、幅広い製品開発も候補にしたい人が比べたい企業です。
28卒のプロダクトエンジニアは、生成AIを含むプロダクトまたはプラットフォームに関わる募集です。

条件には主体的なプログラミング経験、情報科学の基礎、ビジネスレベルの日本語があります。
28卒の配属は入社後の対話を通じて決まるため、27卒の生成AI職にある限定的な配属確約を、翌年度にも当てはめないでください。
生成AIだけを担当したいのか、製品の性能や開発しやすさを改善する仕事にも関心があるのかを考えると、募集範囲との相性が見えてきます。
使いたい技術だけでなく、取り組みたい課題も整理しましょう。
SmartHR|研究経験を、製品へ実装する仕事につなぐ
SmartHRの28年入社向けMLエンジニアは、研究と開発の両方を、製品づくりへつなげたい人が比較したい入口です。
ブラウザエージェントやローカルLLMの調査・検証から、商用環境への実装や運用に関わる仕事が示されています。

研究室での機械学習・深層学習・LLMの研究経験は必須条件です。
GitHubを用いた開発やWebアプリケーション開発なども求められます。
研究の経験を歓迎条件として軽く扱ったり、研究だけで全条件を満たすと考えたりしないようにしましょう。
何を検証したかに加え、動く機能へどこまで実装したかを説明できると、経験と職務の接点を整理できます。
個別の業務はすり合わせるため、紹介された技術を必ず担当できるとは限りません。

ABEJA|開発経験から、AIをシステムに組み込む
ABEJAの28卒ソリューション領域フルスタックエンジニアは、作った経験を、AIを使うシステムの開発へ広げたい人が比べたい職務です。
AIの組み込み、データ処理、推論環境などに関わり、要件定義から保守運用までを扱います。

対象は理工系の大学院・大学・高専で、6か月以上の開発経験と、Shell・Python・Gitなどの基礎を照合します。
別のプラットフォーム職にある1〜2年の経験条件を、この職務へ混ぜないことが大切です。
研究分野の名前だけでなく、どんな処理を作り、問題を調べて直したかを振り返りましょう。
AI統合を含む職務でも、新卒全員が生成AIの特定案件を担当する確約ではないため、扱いたい工程との相性から選んでください。
楽天グループ|職種と組織を決めて、AI実装を目指す
楽天グループは、担当する方向性を絞り、技術と英語の両方を用意できる人が比べたい企業です。
28年入社のAI & Data DivisionのAI Engineerは、生成AI・LLMを使う機能の設計実装から本番導入・運用までを説明しています。

プログラミング、データ構造・アルゴリズム、統計・数学の基礎と、ビジネスレベルの英語が必須です。
応募時に職種と組織を選び、内定時に職種が確定する一方、個別のサービスや案件までは保証されません。

28年本選考の第1期は10月2日9時から10月30日9時までで、充足時は早く終了する場合があります。
別職種の要件を流用せず、AI Engineerの全条件と、自分が示せる制作・学習経験を並べて判断しましょう。

AI活用の働く環境は、利用範囲と学ぶ支援で比べる
AIを日常の仕事に取り入れたいなら、誰が、何に使えて、どんな支援を受けられるかで就職先を比べましょう。
開発職や実装職に限らず、調査や資料づくりなど、自分の担当業務を改善できる環境かが重要です。
会社がAIの製品を売っていることと、社員が業務で使えることは同じではありません。
サイボウズ、ギブリー、ABEJAが説明する制度も、対象や支援の内容を分けて読むと違いが分かります。
| 企業 | 確認できる利用・支援 | 見るときの注意 |
|---|---|---|
| サイボウズ | 全社員がガイドライン内で利用可能。開発支援、社内情報の検索・要約 | 利用できる範囲を守る。申請した割合と実利用率は別 |
| ギブリー | 全社のAIスキル評価・教育 | 教育制度から、全員が同じ用途で使うとは判断しない |
| ABEJA | 全社員への生成AIツール提供 | 個別業務の利用権限・用途までは同一と限らない |
道具を使えることは強みですが、それだけで仕事の質が上がるとは限りません。
入力できる情報、回答を確かめる手順、間違いを直す責任まで考えられる環境を選ぶことをおすすめします。
全社員が利用できることと、全社員が日常的に利用していることは別です。
学ぶ制度があっても、希望する部署で同じ使い方ができるとは限りません。
未確認の制度を「ない」と扱わず、自分の職務での使い方を確認しましょう。
AIが書いたコードなら動作と変更の影響、作った資料なら根拠と相手に伝わる内容を確かめる必要があります。
使った回数やツールの多さではなく、仕事の成果をどう良くし、その結果を誰が確認するかまで見て選んでください。
志望する仕事に合わせて、経験の示し方を変える
先に募集条件と自分の経験を照合し、開発・実装・活用のどの成果を示すかを決めましょう。
技術名を並べるより、自分が判断した範囲と確かめた結果を伝える方が、仕事との接点が明確になります。
- 必須条件から、経験と不足を整理する
- AI開発では、モデルや手法を比べた理由を残す
- AI実装では、失敗の原因を確かめる
- AI活用では、仕事の改善と結果の確認を伝える
必須条件から、経験と不足を整理する
準備は、必須条件に対応する事実と、足りない経験を分けるところから始めましょう。
SmartHRの研究経験、ABEJAの開発期間、日本IBMの成果物を作った経験では、示す内容が異なります。
歓迎条件や使用技術を、すべて必須条件として扱わないことも大切です。
授業で使っただけなのか、自分で設計して動かしたのか、実際に取り組んだ範囲を条件ごとに整理してください。
記録は「条件」「説明できる経験」「不足」の3項目で十分です。
研究経験がなければ「未経験」、必要な期間に届かなければ実際の期間を残します。
経歴を大きく見せるのではなく、条件が合う別の入口も比べながら、次に取り組むことを決めましょう。
AI開発では、モデルや手法を比べた理由を残す
モデルやアルゴリズムの開発を志望するなら、何を改善したくて、その手法を選んだのかを説明できるようにしましょう。
研究や学習で、比較した方法、使ったデータ、評価した指標を記録すると判断の根拠を示せます。
学習に使うデータと評価するデータを区別し、同じ条件で比べることが大切です。
良かった結果だけでなく、精度や処理時間などの不利な点、うまく働かない条件も残してください。
既存モデルを利用した部分と、自分が学習方法や構造などを変えた部分を分ければ、担当範囲が明確になります。
論文や研究がすべての新卒職で必須とは限りません。
募集条件に合う経験を選び、変更理由、結果、限界まで伝えましょう。
AI実装では、失敗の原因を確かめる
製品や業務システムへの実装を志望するなら、自分が組み込んだ処理と、動作を確かめた方法を示しましょう。
APIや既存モデルに任せた部分まで、自分で作ったものとして説明する必要はありません。

例えば、FAQ文書を検索して回答する学習用アプリでは、必要な文書を取得できたかと、回答が文書に沿うかを分けて確かめます。
検索と回答の失敗を分け、同じ質問で変更前後を比べると、直した理由が明確になります。
AWSの公式資料でも検索結果と生成回答の評価を区別しています。
答えがない質問や古い文書も試し、取得、表示、例外処理のどこを改善したかを残しましょう。
有料サービスの利用は必須ではありません。
まだ直せないケースも含めて、実装の品質と改善の考え方を伝えてください。

AI活用では、仕事の改善と結果の確認を伝える
仕事でAIを使う力を示すなら、課題、AIに任せた作業、自分が確認した結果をつなげて説明しましょう。
使ったツールの名前だけでは、どのように仕事へ生かせるかが伝わりません。
例えば、調べた内容を資料にする課題なら、AIに整理を任せた部分と、原資料で事実を確かめて直した部分を分けて説明します。
早くできたことだけでなく、内容の正しさと目的への適合を確かめることが重要です。
入力してよい情報を守り、誤りや手直しが残った点も隠さず伝えてください。
改善率や作業時間は、実際に測った範囲で示します。
数値がなくても、何を任せ、どこを人が判断し、次は何を変えるかを具体化できます。
応募する仕事の成果に合わせて、便利だった感想から、自分の判断が伝わる説明へ進めましょう。
経験の伝え方と応募先選びを相談したい方へ



