【就活生向け】自社開発企業とは?メリットとデメリット受託開発の違い、難易度を解説
自社開発企業とは、自社で利用するシステムやサービスを開発する企業のことです。
就活生の間ではSIerのほうが人気があり、あまり周知されていない印象です。
たしかに、技術力がある方や高学歴な方以外の入社難易度が高めになっているのは事実としてありますが、もうちょっと知られても良いのにな?と個人的には感じています。
これも情報操作社会の弊害なので、当サイトではしっかりと解説していきます。
本記事では、自社開発企業で働くメリットとデメリットや開発の現場、企業選びのポイントについて詳しく解説します。
自社開発企業とは?
まずは、自社開発企業とは何を指しているのかを確認していきます。
自社開発の基本的な概念
自社開発とは、企業が自らの事業に必要なシステムやソフトウェアなどを、外部に委託せず内製する企業ことを指します。
企画から運用・保守まで一連のプロセスをすべて自社でコントロールできるため、企業独自のニーズに合った製品やサービスを作りやすいのが特徴です。
また、社内の開発チームだけでなく、企画、マーケティング、営業など様々な部署が共同でプロジェクトを進めることで、企業全体の連携が深まり、組織としてのスキル向上も期待できます。
とりわけIT企業においては、自社開発の技術力やノウハウがコアコンピタンスとなり、市場での競争力を高め、ブランド力や顧客ロイヤリティにも大きく貢献します。
自社開発の種類
自社開発の形態は、企業の事業内容や目的によって多彩です。
まず、顧客管理システムや販売管理システムなど、業務の根幹を担う基幹システム開発が挙げられます。これらは業務効率化や運営基盤の安定に不可欠です。
次に、Webサービスやアプリケーション開発があり、企業独自のサイトやアプリを提供することで顧客との接点を増やし、売上向上にもつなげます。
さらに、AIやIoTを活用した先端技術の開発や、自動車・家電に組み込むソフトウェア開発なども重要な分野です。
企業はこれらの選択肢の中から、自社の戦略や目標に合った開発スタイルを選ぶことが成長の鍵となります。
自社開発と受託開発・SESとの違い
自社開発企業のほかに、受託開発(一般的にはSIer)とSESとの違いを見てきます。
受託開発との違い
受託開発は、顧客からの依頼に基づいてシステムやソフトウェアを作るため、顧客の要望や契約内容が開発の進め方を大きく左右します。
納期や予算など、さまざまな制約のなかで効率的に開発することが求められ、仕様変更にも顧客の承諾が必要です。
一方、自社開発では企画から運用までを自社でコントロールできるため、製品やサービスを自社独自の考えで磨き上げることができます。
受託開発は、異なる業界や業務知識を身につける機会が得られるメリットがある反面、自社内の技術力向上に直接つながりにくい場合もあります。
開発の目的・主体の違いから、技術習得やプロセス管理にも差が生じるのが特徴です。
SESとの違い
SES(システムエンジニアリングサービス)は、技術者を顧客のプロジェクトに派遣し、顧客の指示のもとで作業を行う契約形態です。
そのため、技術者は顧客の業務に集中し、自社開発のように製品企画から関わることは少なくなります。
また、顧客企業に合わせた環境や技術での開発となるため、自社のノウハウや開発文化を深める機会が制限されがちです。
一方、自社開発では、自社の製品やサービスを軸に技術を習得し、事業戦略やサービス改善に貢献することが期待されます。
SESと比べ、責任範囲やキャリアパスの方向性が異なる点に留意する必要があります。
新卒が自社開発企業に入るメリット5選
他の企業との違いが分かったところで、新卒で自社開発企業に入るメリットについて見てきましょう。
スキルを存分に活かせる
自社開発企業では、新卒であっても最初から開発現場で積極的にスキルを活かせる場面が多いです。
自社の製品やサービスをより良くするために、新卒社員にもアイデアや提案が歓迎される風土があるため、自分の得意な技術や知識を試しやすいでしょう。
さらに、業務を通じて特定の技術分野を深く学べる機会が多く、研修や勉強会も充実していることが少なくありません。
新卒社員が成長を実感しやすく、エンジニアとしての自信をつけるきっかけにもなります。
企画から一気通貫できる
自社開発企業では、製品やサービスの企画段階から開発、そして運用までを一貫して自社内で完結させられます。
新卒社員であっても企画会議に参加し、自らのアイデアを形にするチャンスがあります。
特定の工程だけにとどまらず、全体像を把握しながらものづくりができるため、サービスやユーザーに対する理解が深まりやすいのです。
市場動向やビジネス面にも触れられるので、広い視野を持つエンジニアとしての成長にもつながります。
技術ファーストの社風
自社開発企業は、自社独自の技術力を競争力の源泉とするため、技術を第一に考える社風が根付いていることが多いです。
新卒社員も、最新のプログラミング言語や開発手法を積極的に学ぶ機会があり、先輩エンジニアから直接アドバイスやノウハウを得られる環境が整っています。
さらに、社内勉強会や技術共有の文化が活発で、常に新しいことへ挑戦しやすいのも魅力です。
技術的な提案が通りやすい文化があると、エンジニアとしてのモチベーションも高まり、成果が実感しやすいでしょう。
働く環境の変化が少ない
受託開発やSESの場合は、案件ごとに配属先やチームが変わるケースも少なくありません。
しかし、自社開発企業では基本的に社内でプロジェクトを進めるため、働く環境やメンバーが大きく変わらない点がメリットです。
同じメンバーと長期的に仕事をすることでチームワークが育ちやすく、コミュニケーションもスムーズに進みます。
さらに、職場環境が落ち着いているので、自分のペースで仕事に慣れながらスキルアップを図ることができます。
新卒社員にとっては、環境の変化によるストレスが少ないのは大きな安心材料です。
ユーザーの反応がダイレクト
自社開発の場合、自分たちが作った製品やサービスを使うユーザーの声が、ダイレクトに届きやすいのが大きな特徴です。
利用者の反応をリアルタイムで把握できるため、改善や新機能の追加など、次のステップに素早く活かすことができます。
自分が関わった部分がどのように評価されているかを直接感じられることで、開発へのやりがいや責任感が高まりやすいでしょう。
ユーザーの生の声を聞くことによって、自分自身もサービスの品質向上に一層熱意を持って取り組むようになり、結果的にエンジニアとしての成長にもつながります。
自社開発はサービスの成長や会社への貢献感を得られやすいにゃ!
新卒が自社開発企業に入るデメリット3選
一方で、新卒で自社開発企業に入ることには一定のデメリットも存在します。
スキルがないとただの地獄
自社開発企業では、新卒でも即戦力としての役割を求められるケースが多く、スキル不足だと業務についていけずに大きなプレッシャーを感じるかもしれません。
高度な技術を扱うプロジェクトが多い場合、周囲とのレベル差に苦労することもあります。
入社前にプログラミングや開発手法の基礎を習得しておくのはもちろん、入社後も自主的に最新の技術を学び続ける姿勢が不可欠です。
企業によっては研修制度が充実している場合もありますが、それだけに頼らず、自ら意欲的にスキルアップを図ることで、環境に適応しやすくなります。
身に付くスキルの汎用性が低い
自社開発企業では、特定の製品やサービスに特化した開発が多いため、身につくスキルが限定されがちです。
例えば、自社独自の技術スタックやツールに依存した開発を続けていると、他の企業やプロジェクトで通用しにくい可能性もあります。
将来のキャリアを広げたい場合は、外部の勉強会やコミュニティに参加するなどして、汎用的な技術や知識を意識的に取り入れることが重要です。
自社開発のメリットである専門性の高さを活かしながらも、他分野への視野を広げる工夫が必要となります。
小さい企業はつぶれやすい
自社開発企業の中には、規模の小さいスタートアップが多く含まれます。
成長性が高い分だけ経営基盤が不安定な場合もあり、売上減少や資金調達の失敗などで倒産のリスクが高まる可能性があります。
会社が倒産すると職を失うだけでなく、キャリア形成にも大きな影響を受けるでしょう。
そのため、企業を選ぶ際には企業の将来性や経営状況、財務状況を入念に調べることが大切です。
加えて、福利厚生や研修制度が整備されているかどうかも重要な判断材料となります。自分の成長と安定性の両方を見極めることが必要です。
自社開発企業は魅力的だけど、小さい会社は結構地獄だにゃ。
自社開発企業を選ぶ際の注意点
自社開発企業にはメリットとデメリットが存在するため、しっかりと企業の見極めをすることが大切です。いくつか見るべきポイントがあるので解説します。
企業の安定性と将来性
自社開発企業を選ぶ際には、まず企業の経営基盤や業績を確認することが重要です。
長期的に安定して働くためには、財務状況や市場でのポジション、将来の成長戦略などをしっかりチェックしましょう。
例えば、定期的に新技術や新規事業に投資している企業であれば、変化に適応する力が高く、社員にとっても成長機会が豊富といえます。
安定性に加えて、挑戦的な姿勢を持つ企業は、常に新しいアイデアを取り入れようとするため、キャリアアップにつながるチャンスも多いでしょう。
自分が今後どのようなスキルを身につけたいのかを考慮しながら、企業の将来性を見極めることが大切です。
開発体制と技術スタック
開発体制や扱う技術スタックを確認することも欠かせません。
自社開発では、チームの規模や役割分担、導入している開発手法など、企業によってさまざまです。
自分がどの工程に携わりたいか、どの分野のスキルを伸ばしたいかを考慮して、マッチする環境を選ぶとよいでしょう。
また、使用技術のトレンドや新しさも重要なポイントです。
例えば、最新の開発言語やフレームワーク、ツールを積極的に取り入れている企業だと、学びの機会も多く、技術者としての成長が期待できます。
開発スタイルと技術スタックが自分の興味やスキルアップの方向性に合致しているか、しっかり見極めることが大切です。
企業文化と福利厚生
企業文化や福利厚生も見逃せないポイントです。
社風や理念が自分の価値観に合っているかどうかは、日々の働きやすさやモチベーションに大きく影響します。
例えば、積極的にアイデアを出せる風通しの良い文化や、上下関係にかかわらず意見を聞き入れる仕組みがある企業だと、新卒社員でも意欲的に取り組みやすいでしょう。
また、住宅手当や通勤手当、資格支援などの制度が整っているか、健康保険や年金などの福利厚生が充実しているかも重要です。
自社開発企業は入社難易度が非常に高い
自社開発企業は魅力的な企業ではあるものの、入社難易度が高いのが難点です。これは就活のみならず、転職市場でも同様の傾向が見られます。
早慶・国立以上の学歴が必要
自社開発企業は、高度な技術力を持った優秀な人材を求めるため、難関大学や海外大学の卒業生を積極的に採用するケースが多いです。
採用試験では、アルゴリズムやプログラミングなど、専門的なスキルや知識を厳しくチェックされます。(俗にいう技術質問)
しかし、学歴だけが決め手になるわけではありません。大学で専攻していない分野でも独学でスキルを習得していれば、採用される可能性があります。
インターンや企業説明会などを活用して、企業の担当者に自分のスキルや熱意をしっかりアピールできれば、十分にチャンスはあるでしょう。
早慶以上であれば、文理はそこまで関係ないにゃ。
学歴がなければスキルが必須
学歴に自信がない場合、自社開発企業へ入社するためには高度なスキルが強い武器になります。
プログラミングやアルゴリズム、データ構造など基礎をしっかり固め、Webサイトやアプリを自作してみると実績としてアピールしやすいです。
ポートフォリオやGitHubを活用して、自分の成果や考え方を具体的に示すのがポイントになります。
また、企業がどんな技術を求めているのか事前にリサーチしておき、それに合ったスキルを磨くのが効果的です。
学歴がなくても、実践的なスキルとやる気があれば道は拓けるでしょう。